日本酒と聞くと僕の中では中田英寿が思い浮かぶ。
2006年ドイツワールドカップが終わり29歳という若さで現役引退したかと思えば、世界を旅する旅人になった中田英寿。
そして、いつしか日本酒の魅力を発信する日本酒ブローカーになっていた。

なぜ、彼は日本酒に取り憑かれたのか?
当時、僕はそんなこと分かりもしなかった。しかし、今なら分かる気がする。
日本酒は奥が深い。旨い日本酒に出会ったときの喜びは大きい。旨い日本酒を探す喜びものめり込んでしまう要因だろう。
僕は近ごろ旨い日本酒に出会った。
菊正宗が製造している『しぼりたてギンパック』だ。
これはいい近所のロピアには999円という消費者心をくすぐるイヤらしい値段で販売している。
今回は是非とも試してみて欲しいと言う願いからこの酒をレビューしたい。
目次
菊正宗/しぼりたてギンパック
菊正宗は日本酒の激戦区、神戸灘区にある老舗の日本酒製造メーカーだ。神戸の灘区にはその他にもワンカップで有名な大関などもある。
何でこの地域はこんなにも日本酒製造が盛んなのか?
色んな理由があるかと思うがそんなことはどうでもいい。菊正宗が旨い酒を作っているのには変わりがないのだから。
この『しぼりたてギンパック』は紙パックの日本酒だ。
紙パックの日本酒というと不味いというような先入観や料理酒として使うイメージが先行するが、そんなことはない。
メーカーによると一升瓶も紙パックも中身は同じものらしい。
ならば、持ち運びに優れ、処分するにも楽な紙パックでいいじゃないか。紙パックという先入観はこの際捨ててしまおう。
紙パックが不味いと言うような奴は一升瓶でも不味いときっと言う。日本酒への耐性がないんじゃないか?
菊正宗/しぼりたてギンパックの成分

しぼりたての原材料は米(国産) 米こうじ(国産米) 醸造アルコールのみだ。
糖類は不使用だが、アルコールを添加している。もし、アル添を気にするならここでさよならだ。気にしない人だけ友達になろう。
僕はアルコール添加は気にしない。旨いならそれでよかろう。ただ、糖類添加は頂けない。
これは、単に僕が甘ったるい日本酒が好きではないからだ。このあたりは好みの問題だ。
アルコール度数は14%〜15%未満なので、紙パック酒によくある水みたいな日本酒と違い飲みごたえもしっかりある。
日本酒度は+3.0となっている。
しぼりたてギンパックの特徴はフルーティー感

しぼりたての特徴は何といっても香りだろう。メーカーが謳っているように、口の中にフルーティー感が瑞々しくひろがる。
低精白の普通酒でありながら、「ほとばしるような」芳醇な香りを醸し出しました。冷やして注げば、驚きの「フルーティー感」が口中にひろがります。
以上にあるように、グラスに注いだ瞬間から良い香りが立ち込めてくる。
何か香料を添加しているのか?
僕にはわからない。ただ、他の格安日本酒にはない香りがすることは間違いない。
ただ、香りが強いので熱燗には向かないかと思う。
メーカーも冷やして飲むことを推奨している。熱燗にするならもっとクセのない日本酒の方が向いているのかも知れない。

しぼりたてギンパックの味
日本酒を『rice wine』などと言うが、このしぼりたてはワインのような酒だと思う。香り、フルーティー感をとっても米のワインというのがしっくりくる。
僕は数年前まで日本酒が嫌いだった。
なぜなら、正月になると日本酒を飲まされたからだ。子供のときから。
最近は少なくなったと思うが、田舎にはそういった儀式があるのだ。子供に飲酒させるなんてと思うかも知れないが、僕はそんな悪習でも悪いことだとは思わない。
伝統が廃れてしまう方が寂しい。しかし、そのときに不味い日本酒を飲まされることは問題だ。
そんな経験から日本酒=不味いものという図式が育まれてしまった。日本酒をはじめて旨いと初めて思ったのは、それから何十年もあとだ。
それは仕事で新潟に行ったとき。
新潟にせっかく来たのだから日本酒でもお土産にと、『八海山』を買ったときだった。
その時の衝撃は忘れられない。
「日本酒ってこんなにうまいの?」
大吟醸ではない。普通酒の八海山だ。
そして、この『しぼりたて』にも同じような感覚を覚えた。八海山と味は近い気がする。もし、その手の味が好きならきっと『しぼりたて』も気にいると思う。
しぼりたてはクドイかも?
褒めちぎると疑われるので、悪いところも書いておかなければいけない。
それは『クドイかも知れない』と言うことだ。
確かに香りやフルーティー感は素晴らしい。
しかし、ずっと飲みつづけるとクセが強すぎる気がする。
一杯目は最高なのだが、飲み続けると疲れてしまう気がする。
そして、食中酒としても合わない。香りが強すぎる。
この酒を飲むならば単体で飲むか、軽いつまみを用意して飲むといいかも知れない。ワインに合うものなら、美味しく飲めると思う。
コストパフォーマンスは最強
日本酒はたくさんある。しかし、この価格でここまで美味しい日本酒を出してくるのはすごいのではないかと思う。
このクオリティの酒をこの値段で出すのは小規模なメーカーには不可能だろう。
そして、安いから不味いということでもない。例えば、小さな酒蔵が同じことをやろうとすれば、自ずと値段は上がってしまう。
この菊正宗『しぼりたて』は価格、旨さとバランスが取れた庶民の味方のような日本酒だ。
日本酒が苦手だという方にこそ試して見てほしい。

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